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第42話

042_宣言を書かないだけで全部素通りできた話

AIに作業をさせるとき、「検証結果を報告書に書いてね」とお願いする方式がある。ところがある日気づいた。報告書を書かなければ、チェック機構は全部素通りできる。実際に、報告フォーマットを無視して終了したセッションで、検証ゲートが一切発動せずにタスクが完了扱いになったのを実測してしまった。ゲートは全部「宣言があること」を前提に設計されていたので、宣言しないという行為そのものに防御がなかった。

これを「オプトイン型の罠」と呼ぶことにした。検査を「書いてください」と頼む方式は、書かない選択が常に最速の抜け道になる。対策は逆転して「書かないほうが不利」なfail-safe型にすること。宣言が無ければ全テスト必須としてデフォルトで扱い、宣言があったとしても機械の実測値と突合して矛盾すれば差し戻す。人の申告を信頼するのではなく、申告と実測の一致そのものを検査対象にした。

設計を固めるのに、3種類のAIレビューを3ラウンド回して48件の指摘を集め、「反対票も付ける」判断材料を人間に提出して3件の決定をもらった。最後の実証では、報告を避けるための攻撃パターンを8種類用意して1件でも見逃したら設計に戻るという安全弁付きで試し、全捕捉を確認。ここまでの工程に、発見から実証まで全部で機械的な検査が挟まっていて、「突破の試み」自体をテストケースとして扱うのが効いた。検査を強化するとき、まず最初に調べるべきは「今の検査を通らない方法が何通りあるか」だった。

<details><summary>▶ 技術的にどうなってるか</summary>