第19話 作業物語 「曲作って」と言ったらAIの癖に振り回されない道具立てになっていた話
困ったこと
AIに曲を作ってもらううちに、ひとつ気づいた。
知っている楽曲の型も日本語の韻の踏み方も、何もかもが「いま使っているAIが覚える前提」で積み上がっていく。AIが変わったらどうするか。最初の日から手探りで、何ヶ月もかけて培ってきた工夫が、朝には全部ただの紙くずになる。
それだけではない。「A社のAIでは効く」「B社のAIでは効かない」みたいな小技が大量に生まれて、どれが本当に大事なのか、どれが小さな揺れに過ぎないのか、自分でももう分からなくなっている。芯の強さを保ちながら、AIの差分だけをうまく入れ替える仕組みが、どうしても必要だった。
どう解決したか
2つの軸を直角に交差させた。
縦の軸は 「AIが変わっても残るかどうか」 。横の軸は 「どれくらい確かめられたか」 。これで4つの升目が出来上がる。「AI非依存かつ確か」は確定の基礎、「AI固有かつ確か」は差し替え前提の核、「未確か」なものは升目の隅に追いやった。
その上で、5つの棚を重ねた。一番下は姿勢(測ってから語る・一度に変えるのはひとつだけ)、その上は普遍の音楽理論(月単位で見直し)、流行りの参照(月単位で入れ替え)、AI固有の実測(即時更新)、そして一番上にプロジェクトごとの制作記録。基礎はそのまま、AIが変わったら固有の棚だけ書き直す——この運用ルールを、ファイル名の頭に [L1][L1.5][L2][META] と刻んで、「どの棚の話か」を一目で区別できるようにした。
何が変わったか
AIが将来入れ替わっても、音楽理論のノートを読み直さなくていい。本当に見直すべきは [L2] とついた棚だけ。効くのか効かないのか分からない小技は、まず「未確か」の升目で飼いならし、確かだと分かった時点で確定の升目に昇格する。升目をまたぐ昇格と降格のルールを最初から決めたので、混沌と化さずに済む。
一度に頼んでも、軽くても、本格仕様でも、どちらでも応じられる。基礎理論を保ったまま、流行りの参照は月で更新し、AI固有の癖は実測で育ったぶんだけ反映される──そういう生きた道具立てが手に入った。
<details><summary>▶ 技術的にどう作ったか</summary>
核心構造:
- 4象限マトリクス(汎用性×検証度)= ①確定汎用 ②実測固有 ③仮説汎用 ④仮説固有
- 5層レイヤー: L0=制作姿勢 / L1=普遍音楽理論(AI非依存) / L1.5=潮流参照(月更新) / L2=MiniMax固有実測(即時更新) / L3=プロジェクトSSOT(毎回更新)
- 昇格/降格ルール: ③④は実測で①②へ昇格・①のうち新AIで効かないものは②へ降格
SKILL.md構成: 本体はフェーズ+意思決定フローのみ(スリム)。詳細は references に分離し、prefix [L1][L1.5][L2][META] でAI依存度を視覚化。コンテキスト圧迫回避のためジャンル/場面別に必要な分だけ参照する設計。
フェーズ分割: Phase -1(用途定義・Quick/Full分岐)→ 0(コンセプト)→ 1(Reference 3曲+GMIV順序)→ 2a/2b(理論構造/AI補正分離)→ 3b→3a(歌詞先行・韻設計→プロンプト)→ 4(生成+1変数変更ループ)→ 5(SSOT記録+知見蓄積)。
ポータビリティ・チェックリスト(AI差し替え時の確認項目): duration/BPM・構造タグ認識・括弧/コロン記法解釈・歌詞最大文字数・圧縮率・声質プロファイル・高音質パラメータ・失敗パターン再現性 — L1は再々利用、L2のみ再検証して書き直す手順を references/[META]ポータビリティチェックリスト.md に集約。
既存資産統合: cyber-wa-song / sangoku-song / reverse-engineer-song の作曲フェーズを本スキルへ委譲。各スキルは固有カタログだけ残してスリム化(YAGNI徹底)。
素材出典: obsidian-ssot/01_DECISIONS/ai-music/2026-06-16_AI作曲スキル_design.md(259行・full design spec)
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