icon: 🔁 slug: 18-loop-system card_desc: Daily Triage→人間承認→検証付き自律実行の全体像と、外部LLMレビューを組み込む理由
ループシステム(Loop Engineering) — 自律開発ループの全体像
Claude Code を「指示待ちの道具」から「毎日自走する開発パートナー」に変えるための仕組み全体を Loop Engineering と呼んでいる。個別の部品(cron・hook・スキル)の話は各章に譲り、本章は全体像と設計思想をまとめる。
全体フロー
朝6:07(自動) Daily Triage 発火
バックログ + 前回の引き継ぎ + 進行中タスクを収集
→ LLMが優先度判定 → today-tasks.md 生成 → Discord通知
↓
セッション開始 候補が自動表示される
↓
人間の承認 approve.py で番号選択(ここだけ手動・意図的なゲート)
↓
自律実行連鎖 run-task.sh: 実装用LLM → 検証用LLM(別プロセス・別コンテキスト)
Stop hook: 検証OK → 次タスク自動起動 / NG → blocked停止・通知
↓
終了 全完了トースト or 人間へエスカレーション
自動と手動の境界
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 全自動 | 候補生成(毎朝)・通知・実装→検証の連鎖・次タスク起動・完了/停止通知・cronの失効対策(6日毎の自己再登録)・記録の引き継ぎ(handoff生成→次セッション復元) |
| 手動(意図的) | タスクの承認・blocked後の修正と再開・auto/manualモード切替 |
💡 「どこまで自動化するか」より「どこを意図的に手動で残すか」が設計の本体。承認ゲートを消すと、LLMの誤判断がそのまま実行される。
主要コンポーネント
| 部品 | 役割 |
|---|---|
daily-triage.sh / daily_triage.py |
候補生成エンジン。バックログ・引き継ぎ・進行中を収集しLLMが優先度判定 |
approve.py |
人間承認ゲート。選択されたタスクをキュー(state.json)に登録し最初のタスクを起動 |
run-task.sh |
検証付き実行。実装と検証を別のLLMプロセスに分離(自己採点を防ぐ)。currentなし起動時は即exit(REPOフォールバックによるHOME repo誤動作防止)・起動時に current.started=True + running=True を設定 |
next_issue.py |
Stop hookから発火。検証結果(OK/NG)を機械判定し、次タスク起動 or blocked停止。current.started 未設定/False なら消化スキップ(並行セッションのStop hookでの事前消化防止) |
state.json |
ループの状態(active / running / current[started] / pending / completed / blocked) |
現在地(2026-07-05 実測診断)
自分の環境を実測して採点した結果は 総合76/100。内訳: 候補生成90・cron基盤90・記録引き継ぎ90・実行連鎖75・失敗回復50・ドキュメント65。
得られた教訓は2つ。
- 仕組みの完成と運用の定着は別物。 実行連鎖は実装・検証済みなのに、実運用の完走は1件だけだった。「承認して流す」という毎朝30秒の習慣が最後のピースになる。
- ドキュメントは書いた瞬間から腐り始める。 「hookとして稼働中」と台帳に書かれた同期スクリプトが、実際は11日前からどこからも呼ばれていなかった(設定整理の際に登録が消え、それを検知するはずの検知器も同時に消えていた)。台帳は手書きせず、実登録から自動生成する方向へ移行中。
外部LLMレビューの組み込み(実証済みの知見)
ループの品質を支えるもう1つの柱が、設計・監査の成果物を別のLLMにレビューさせる運用。「最上位モデルが作った案なら不要では?」という疑問に対し、実測で答えが出た。
最高級モデルの監査・設計成果物へ外部LLMレビューを3回(計15指摘)実施した採否実績:
| 結果 | 件数 |
|---|---|
| 致命的な穴の検出(設計テーマ自体の見落とし) | 1 |
| 優先度の再重み付け・有用な盲点追加 | 5 |
| ホスト側の改善を誘発(触媒) | 2 |
| 妥当性の確認 | 4 |
| 誤指摘(却下) | 3 |
重要なのは次の3点。
- 革新は来ない。死角の消し込みが来る。 新しいアーキテクチャはレビューからは出ない。出るのは「作者が自分の前提の内側で完結してしまった穴」。これはモデルの能力を上げても自己レビューでは消えにくい
- 価値の源泉は賢さではなく視点の独立性。 レビュアーが作成者より賢い必要はない
- 取捨する側の文脈力とセットでのみ黒字。 誤指摘(今回2割)は環境文脈の不足から生じる。文脈を持つ側が採否判定する前提を崩すと、逆に品質が下がる
正典ドキュメントの構成(迷子にならないために)
複数の文書がループを説明していると、どれが正か分からなくなる。役割を固定している:
| 役割 | 場所 |
|---|---|
| 仕組みの正典(1日の流れ・コンポーネント) | ナレッジベース内 共通ルール/自律開発ループ.md |
| 稼働台帳(hook/cron/スクリプトの現状) | 自動化.md |
| 設計判断の記録 | 01_DECISIONS/(日付付き決定ログ) |
| 実装本体 | claude-config/scripts/auto-dev/(pytest付き) |
| 公開ガイド(概念・入門) | Loop Engineering Guide |