整骨院向けLINE予約Bot SaaS 開発者向けドメイン知識
1. 整骨院・接骨院の基本
整骨院と接骨院の違い
- 法的な違いは一切ない。 単に看板に出す名称が異なるだけ(「整骨院」「接骨院」「ほねつぎ」など)。
- システム開発上の注意: Botの自動応答では「整骨院」「接骨院」両方のワードに反応するエイリアス設定が必要。
柔道整復師とは
- 整骨院で施術を行う国家資格。医師の同意がなくても、骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲を診察・治療できる。
- 対象外: 内臓の疾患、神経の疾患(ヘルニアなど)、整形外科的手術。これらを治す旨を謳うと医療法違反。
開業の要件
- 「柔道整復師」の国家資格が必要。整体師やマッサージ師とは全く異なる。
- 厚生労働大臣の指定を受けた「指定柔道整復師」でなければ、健康保険を使った保険施術(療養費)を請求できない。
収益構造(自費・保険の割合)
- 保険施術(療養費): 患者は負担額(通常1〜3割)を支払い、残りは整骨院が国保・社保に請求。単価は低い(約1,000〜3,000円)が、継続通院するためLTVは安定。
- 自費施術: 整体、マッサージ、美容矯正など。単価が高い(3,000〜10,000円以上)。
- 業界の課題: 収益の6〜8割を保険施術に依存。国の診療報酬改定による点数下落が経営を圧迫。
2. 保険の種類と仕組み(Phase 2の核心)
健康保険(療養費)
- 対象: 日常生活やスポーツでの「急性的なケガ」(捻挫、打撲、肉離れなど)。
- 重要: 慢性的な痛み(肩こり、腰痛、変形性膝関節症など)や病院へ通院中の疾患は保険適用外(自費)。 Botの予約時点で「慢性/急性」を判別するチェックが必要。
- 自己負担額: 年齢や加入保険により1〜3割。初診時は「負担割合証」の確認フローが必要。
労災保険
- 対象: 仕事中や通勤途中のケガ。
- 特徴: 患者の自己負担は0円(全額保険)。事前に会社の「療養補償給付請求書(様式第5号等)」が必要。
自賠責保険(交通事故)
- 対象: 交通事故によるケガ(むち打ちなど)。
- 特徴: 原則自己負担0円。相手の保険会社が支払う。
- 重要: 整骨院に行く前に必ず「医師の同意書」が必要。ないと保険請求できない。
各保険による施術の違い
| 保険の種類 | 所要時間 | 患者負担 | システム上の予約枠 | |———–|———|———|—————–| | 健康保険 | 15〜20分 | 1〜3割 | 短めの枠 | | 労災 | 30〜40分 | 0円 | 長めの枠 | | 自賠責(交通事故) | 30〜40分 | 0円 | 長めの枠 | | 自費 | 30〜60分 | 全額 | コース別 |
3. 予約システムに関わる業務フロー
初診の流れ(所要時間: 約40〜60分)
- 問診・記入: 申し込み用紙、健康保険の確認、負担割合の確認。
- 検査・施術: 状態を見て、保険が適用できるか自費かを判断。
- 会計: 次回の予約を取って終了。
- Botの役割: LINEで事前に「問診票」のURLを送り、来院前に入力させて待ち時間を削減。
再診の流れ(所要時間: 約15〜30分)
- 施術: 前回の状態を確認し施術。
- 会計・次回予約: 保証書(シール)を渡す等の処理。
交通事故患者の初回フロー(最重要)
- 来院前: 整形外科で診察を受け、医師の同意書をもらってくる。
- 初診: 問診、自賠責保険・相手方保険の確認、同意書の回収。
- 施術・会計: 署名を毎回行う場合がある。
- Botの役割: 交通事故の予約が入った瞬間に、「同意書取得のお願い」「必要書類の案内」をLINEで自動配信。
予約枠の考え方
- 整骨院は「時間制」ではなく「スタッフ人数(リソース)制」で予約を取るのが一般的。
- スタッフが同時に3人まで施術できる場合、15分枠を3つ同時に予約可能。
- Botのカレンダーは「時間×スタッフ数」で枠を管理する必要がある。
4. 施術メニューの種類
| メニュー | 資格 | 保険 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 柔道整復(骨折・脱臼・捻挫等) | 柔道整復師 | 適用 | 15〜20分 |
| マッサージ・整体 | 不要(民間資格) | 非対象 | 30〜60分 |
| 鍼灸 | はり師・きゅう師 | 条件付き適用 | 30〜60分 |
5. 法的・規制に関する知識
医療法との関係
- 整骨院(柔道整復師)は「医療」に分類。整体やカイロは「非医療(民間資格)」で健康保険は使えない。
広告規制(BotのトークやLP作成での注意)
- 禁止表現: 「完全治癒」「ガンが治る」「必ず良くなる」等は医療法違反。
- 安全な表現: 「痛みの緩和をサポートします」「国家資格による適切な施術」等。
- 保険外併用療養費の規制: 保険適用の施術に無断で自費の高額オプションを上乗せして請求することは厳しく制限。
個人情報の取り扱い
- 整骨院は「医療機関」ではなく「施術所」だが、健康保険や個人情報を扱うため高いセキュリティが必須。
6. 予約システムに必要な機能要件(Phase 2チェックリスト)
保険/自費/事故での予約枠切り替え
- 予約時に「健康保険」「労災」「交通事故」「自費」を選ばせる。
- 選択に応じて、枠の消費時間を自動調整。(例:自費30分、保険15分、事故40分)
初診・再診での所要時間の自動調整
- 初診はカルテ記入や検査があるため、通常より長め(+15分程度)のバッファを持たせる。
同意書・問診票の送信(トーク機能)
- 初診予約確定時: 事前問診票のリンクをLINEで送信。
- 交通事故予約確定時: 「医師の同意書取得のお願い」「被害者供述書」テンプレートをLINEで送信。
レセプト(明細書)作成との関係
- 予約システム単体でレセプトを作成するのはハードルが高すぎる(非推奨)。
- 代替案: 日次/月次の「保険・自費・事故の患者数・施術件数レポート」を自動生成する機能で十分。
7. 業界のトレンドと課題
整骨院が抱える共通の悩み
- 電話対応のリソース不足: 施術中に電話に出られず、患者を逃している。
- 無断キャンセル(ドタキャン): 保険患者はキャンセルのハードルが低く、枠が空いてしまう。
- 交通事故患者(事故枠)の獲得: 単価の高い事故患者が来ない。
- 院長のITリテラシー: 年配の院長も多く、複雑なPC操作ができない。「LINEで完結すること」が最大の売り。
競合サービスの評価
- METS: 業界シェアトップクラス。高機能だが導入費用や月額が高額で操作が複雑。
- HottoLink: 予約に特化しているが、保険・事故対応のフローまではカバーしきれていない。
- 共通の不満: 「高機能すぎて使いこなせない」「高い」という声が多い。
未開拓のニーズ(勝機)
- 「LINE完結」の圧倒的軽さ: アプリインストール不要、Webログイン不要。
- 「ドタキャン防止」機能: 予約24時間前や2時間前にリマインド+ワンタップキャンセルボタン。
- 「定期的な通院」の自動化: 「次回のご予約は3日後でよろしいですか?」とBotから自動提案。整骨院はリピート率が命。
- 整骨院専用のワークフロー: 交通事故予約時の自動アラート、初診時の同意書案内等、他業種向けBotにない機能。