01 基本概念 — 3プリミティブとconfidence設計
Jevに送る「質問」の型と、返ってくる「答え」の設計を理解する章です。
System One / System Two という枠組み
心理学の二重過程理論では、人間の思考を2種類に分けます。速く自動的で安価な直感(System One)と、遅く意図的で高価な熟考(System Two)です。Jevの名前と設計はこの比喩に沿っています。生成・推論という「熟考」は高いモデルに任せ、選択・採点・判定という「直感」を超軽量モデルへ外注するのが基本発想です。
3プリミティブ
JevのAPIは、たった3つの質問型しか持ちません。公式ドキュメントによると、3種類は1回のAPI呼び出しに混在できるのが特徴です。
| 型 | 目的 | 引数 | 返り値 |
|---|---|---|---|
| Choice | 候補から1つ選ぶ | instructions + criteria(選択肢名→説明の辞書) |
choice(選ばれた候補)・confidence・probabilities |
| Score | ルーブリックで採点 | instructions + criteria(段階の説明リスト) |
score・confidence・legend・probabilities |
| Noul | 真偽判定 | instructions のみ |
noul(0〜1) |
state + 質問方式
APIは「state(状態)と型付き質問を送り、構造化された答えを受け取る」方式です。会話履歴やファイル内容など、判断材料となる状態をstateとして渡し、その状態に対する質問を型付きで送ります。
重要な性質(公式記載):
- 全質問は同一のstateに対して並列・独立に評価される
- 質問を追加しても応答時間はほぼ変わらない
- テキスト生成がなくパース不要 — 型付き値と確率分布を直接返す
💡 Tip: 質問は1判断に絞る 公式のベストプラクティスでは、各質問を「1つの具体的で限定的な判断」に絞り、複数要因の結合(重み付け等)は自前のコードで行うよう求めています。「これ、大丈夫?」のような曖昧な質問は、小さな質問に分解して結果をコード側で合成するのが正しい使い方です。
confidence(信頼度)としきい値
ChoiceとScoreの返り値にはconfidence(信頼度)が付き、probabilities(確率分布)も返ります。公式は「どの信頼度以上なら自律実行し、どこから人間レビューに戻すかのしきい値を設定せよ」と説明しています。
設計の型:
confidence >= 高しきい値 → 自動実行
中間域 → 現状維持(自動切替しない)
低い or 曖昧 or エラー → 人間確認に戻す
これにより、「Jevの判断が間違っていた場合の被害」をコードレベルで制限できます。詳しい実装はクイックスタートのしきい値設計を参照してください。
なぜ速く安いのか
公式の説明では、新サンプラーと新訓練アルゴリズム RLCD(Reinforcement Learning for Calibrated Decisions)により、判断タスクに特化した較正済みの確率出力を実現しているとされています。テキストを1トークンも生成しない(確率分布だけ返す)ため、出力課金がほぼゼロです。
⚠ ベンダー主張の扱い 「193.6x速い・444.6x安い」「幻覚ゼロ」等の数値はベンダー(TypeSafe AI)の主張です。独立検証済みの実測は2026-09時点で公開されていません。effectiveに使うには、効果測定の章の通り自分の環境で計測する前提が重要です。