開業届(個人事業主)まとめ
作成日: 2026-06-12 前提: 公務員(地方)が副業で転売を始める場合を想定 注意: 税務・法律の最終判断は税理士・自治体に確認すること
結論ファースト
| 項目 | 答え |
|---|---|
| お金かかる? | 開業届自体は無料。ただし届出印代300円程度(印鑑持ってれば0円) |
| 税の申告いる? | 年間所得20万円超で確定申告必須(給与所得者の場合) |
| 公務員で出せる? | 開業届自体はOK(自営兼業の規模による。転売は要注意) |
| 出さなくても始められる? | 始められる。でも青色申告できなくて損する |
| TikTok Shopに必要? | 開業届 or 法人登記が必要(個人事業主の開業届でOK) |
1. 開業届の費用
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 開業届(個人事業の開業届出書)提出 | 無料(税務署への届出だから手数料なし) |
| 届出印(はんこ) | 300円程度(三文判でOK。持ってれば0円) |
| 青色申告承認申請書 | 無料(開業届と同時提出がおすすめ) |
| e-Tax(電子申告)の利用者識別番号取得 | 無料 |
| 合計 | 0〜300円 |
💡 開業届は「税務署に届け出るだけ」なのでお金はかかりません。 法人設立(株式会社等)とは別物。法人は登録免許税だけで約6万円かかるが、個人事業主の開業届はタダ。
2. 手続き
必要書類
- 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)— 税務署のWebサイトからダウンロード可能
- 青色申告承認申請書(開業届と同時提出推奨)— 青色申告する場合
- 本人確認書類(マイナンバー + 身分証)
- 印鑑(届出印。シャチハタ不可、三文判でOK)
提出先
- 所轄の税務署(住所を管轄する税務署)
- オンライン提出: e-Tax で電子提出可能(パスワード不要、マイナンバーで認証)
提出期限
- 事業開始日から1ヶ月以内(2025年12月31日までの開業について)
- ※ 1年以上出し忘れてもペナルティはないが、青色申告ができなくなる
所要日数
- 郵送: 1〜2週間
- 窓口: 即日受付
- e-Tax: 即日
3. 青色申告 vs 白色申告
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 開業届 | 必須 | 不要(でも推奨) |
| 帳簿 | 複式簿記が必要(青色申告特別控除65万)または簡易簿記(10万控除) | 単式簿記でOK |
| 特別控除 | 最大65万円(e-Tax + 複式簿記) or 10万円(簡易簿記) | なし |
| 赤字の繰越 | 3年間繰越可能(利益から差し引ける) | できない |
| 家族への給与 | 青色事業専従者給与として経費計上可能(30万円以下なら無条件) | 白色事業専従者控除(上限86万円) |
| 貸倒引当金 | 計上可能 | できない |
| 申告方法 | e-Tax推奨(65万控除を受けるには必須) | 普通の確定申告 |
| おすすめ | ✅ 圧倒的にお得 | 所得が少ない場合のみ |
どちらがおすすめ?
圧倒的に青色申告。 理由:
- 月10万円稼ぐ(年間120万円所得)場合 → 青色申告なら65万円控除 → 課税所得55万円に圧縮
- 実質的に年間約10万円の節税効果
4. 確定申告
申告義務の基準(副業の場合)
| 副業の年間所得 | 確定申告 | 理由 |
|---|---|---|
| 20万円以下 | 不要(給与所得のみの申告でOK) | 20万円ルール |
| 20万円超 | 必須 | 所得税法上の義務 |
| 青色申告の場合 | 所得0円でも必須 | 青色申告は申告が前提 |
期限
- 翌年2月16日〜3月15日
必要なもの
- 収入・経費の記録(帳簿)
- 領収書・レシート
- 売上台帳(月商・利益の記録)
- e-Tax ID(電子申告する場合)
5. 税金の目安(公務員 + 副業月10-30万円の場合)
前提条件
- 公務員本業: 年収約500万円(給与所得約380万円)
- 副業所得: 月10万円(年間120万円)or 月30万円(年間360万円)
- 経費率: 30%(仕入れ・送料・手数料等)
シミュレーション
| 項目 | 月10万円の副業 | 月30万円の副業 |
|---|---|---|
| 年間売上 | 120万円 | 360万円 |
| 経費(30%) | -36万円 | -108万円 |
| 副業所得 | 84万円 | 252万円 |
| 本業給与所得 | 380万円 | 380万円 |
| 合計所得 | 464万円 | 632万円 |
| 青色申告控除 | -65万円 | -65万円 |
| 課税所得 | 399万円 | 567万円 |
| 所得税(概算) | 約24万円 | 約44万円 |
| 住民税(概算) | 約40万円 | 約57万円 |
| 追加負担(副業分のみ) | 所得税+住民税 約15-20万増 | 所得税+住民税 約40-50万増 |
| 手取り副業収入 | 年間約65-70万円 | 年間約200-210万円 |
住民税の注意点
- 住民税は翌年6月から給与天引きされる(本業の給与に上乗せ)
- 同僚にバレる可能性: 住民税の金額で副業が推測される
- 対策: 住民税の「普通徴収」(自分で納付)に切り替えれば天引きされない → 役所に申請必要
6. 国民健康保険・国民年金への影響
公務員の場合
- 健康保険: 共済組合に加入済み → 変更なし(副業でもそのまま)
- 国民年金: 公務員は厚生年金 → 変更なし
- 注意: 副業所得が増えても社会保険の種別は変わらない(給与所得が主だから)
国民健康保険加入者の場合(参考)
- 副業所得が増えると保険料が跳ね上がる(前年所得ベースで計算)
- 年間100万円所得 → 保険料年間約5-8万円増(自治体による)
💡 公務員の場合、健康保険・年金への影響はほぼゼロ。 共済組合・厚生年金にそのまま入ったままOK。
7. 公務員の副業規制 — ここが最重要
法律上の規制
| 規制 | 内容 | 該当するか |
|---|---|---|
| 自営兼業の禁止(地方公務員法第38条) | 「商業又は工業を営み、その他営利企業に従事すること」は許可が必要 | ⚠️ 転売は「営利企業」に該当する可能性 |
| 役員兼業の禁止 | 会社の役員になることは原則禁止 | 転売は個人なので該当しない |
| 信用失墜行為の禁止 | 職務の信用を傷つける行為 | 規模が大きくなるとリスク |
実務上の判断基準
| 規模 | 判断 |
|---|---|
| 年間売上20万円以下 | ほぼ問題なし(趣味の延長) |
| 年間売上20-100万円 | グレーゾーン(申告は必要だが、兼業許可は自治体による) |
| 年間売上100万円超 | ⚠️ 兼業許可申請が必要な可能性大 |
| 本業より多い | ❌ ほぼ確実にアウト |
開業届を出すこと自体は問題ない
- 税務署に開業届を出しても職場に通知されない
- ただし確定申告の情報は市区町村に連携 → 住民税でバレる可能性
自治体による違い
- 厳しい自治体: すべての兼業に許可が必要(月5万円以上は申告等)
- 緩い自治体: 一定規模以下なら黙認
- 確認方法: 自治体の人事課・総務課に「副業のガイドライン」を聞く
⚠️ ここが一番重要。公務員の副業は自治体の判断に大きく依存します。開業届を出す前に、まず自治体の副業ガイドラインを確認してください。
8. メリット・デメリット
✅ 開業届を出すメリット
- 青色申告ができる → 最大65万円の特別控除(年間約10万円の節税)
- 赤字の繰越ができる → 3年間利益から差し引き可能(初年度赤字でも安心)
- 社会的信用が上がる → 銀行口座の開設、クレジットカード審査等で有利
- TikTok Shop の出店要件を満たす → 開業届 or 法人登記が必要
- 経費計上が明確になる → スマホ代、交通費、PC代等を経費にできる
- 屋号が使える → 銀行口座に屋号をつけられる(取引先に「個人名」を出さなくてよい)
❌ 開業届を出すデメリット
- 確定申告が必須 → 年間20万円以下でも青色申告なら申告が必要
- 帳簿付けが面倒 → 複式簿記(65万円控除)は学習コストがある
- 公務員の場合、兼業許可のリスク → 自治体の判断次第
- 退職時に届け出が必要 → 廃業届を提出する手間
- 住民税でバレるリスク → 副業を隠している場合
9. 開業届を出さずに始める方法
できること
- 白色申告で確定申告 → 開業届なしでも申告可能
- 所得20万円以下なら申告不要 → 月1.6万円以下の副業なら届け出ゼロ
- Yahoo!フリマ・Qoo10は開業届不要 → 個人出品者として始められる
できないこと
- TikTok Shop 出店不可 → 法人 or 個人事業主(開業届)が必要
- 青色申告不可 → 65万円の特別控除を受けられない
- 赤字繰越不可 → 初年度赤字がムダになる
- 屋号口座不可 → 個人名義での取引のみ
結論
Yahoo!フリマとQoo10だけなら「開業届なし」で始められる。 TikTok Shop をやりたいなら「開業届は必須」。 開業届自体は無料だが、公務員の兼業許可の確認が先決。
10. 推奨アクション(優先順位)
Step 1: 自治体の副業ガイドライン確認(今すぐ)
- 人事課・総務課に「副業の規定」を聞く
- 転売(ネット販売)が兼業許可の対象か確認
- ここでダメなら開業届以前の問題
Step 2: 3販路の手動検証を開始(開業届なしで)
- Yahoo!フリマ: 開業届不要ですぐ始められる
- Qoo10: 開業届不要ですぐ始められる
- TikTok Shop: 開業届が必要 → Step 3で判断後に出す
Step 3: 月5万円以上稼げると確信したら開業届提出
- Step 2で「いける」と感じたら開業届を出す
- 青色申告承認申請書を同時提出
- TikTok Shop のセラー登録を進める
Step 4: 確定申告(翌年2-3月)
- freee や マネーフォワード クラウドで簡単に申告可能
- 青色申告なら年間10万円の節税
関連情報源
- 弥生株式会社「開業届の費用」(2025年1月更新)
- マネーフォワード「公務員の会社設立」(2025年12月)
- and HiPro「副業の住民税計算」(税理士監修)